中学校一年の夏に、父の仕事の関係で転校することになりました。生まれた町を出たことのない田舎者だった私が、県庁所在地の都会の町(と、当時は思っていました)に引越しをするなんて、と不安でいっぱいでした。仲良しの友達とお別れするのも本当に辛く、一学期の終業式の日まで、一番の親友にすら転校することを伝えていませんでした。もし今、あのときの自分に引越しの注意事項を伝えることができるなら、「まず、お友達に話しなさい」と言ってあげたいです。今思えば、もっと早く伝えていれば、一緒に最後の思い出を作ることができたのだろうと思います。
子どもだった私は、ギリギリまで、何かが起きて引越しが中止になることがありそうな気がしていたのです。終業式の日、先生の口から私の転校が発表されるまで、クラスの誰もそのことを知りませんでした。先生の言葉を聞いて、親友がすごくショックな表情をしたのを覚えています。そのとき初めて、私は、自分の引越しが自分だけでなく友達にも淋しく悲しいことであると気づいたのです。帰り道、いつも一緒に帰っていた親友は、あまり口を聞いてくれませんでした。
別れ際に、ぽつんと、「もっと早く教えてほしかった」と言われて、とても後悔しましたが、ときすでに遅しといった感じでした。このときは本当に悲しかったですが、学んだ注意事項はその後の人生の中で生かされてきました。大人になった今でも、心を許した友達には、なるべく何でも話し、分かち合うように気をつけています。この注意事項に気づかせてくれた友達とは、引越しのあと文通が続き、今でも年賀状をやりとりしています。